こんにちは!MLBメガネです。
HRランキングでメジャートップを走るエンゼルスの大谷翔平選手ですが,オールスター後の後半戦は投手としても圧巻の成績を残しています。
大谷投手に対して速球派のイメージを持っている人も多いかと思いますが,今年の大谷投手は長いシーズンを戦う中でより効率的に勝利するため,その投球スタイルを徐々に適応させています。
本記事では大谷選手の投球スタイルの変化に注目して,好調の要因を解析していきます。
今シーズンの投球成績まとめ
大谷選手の月ごとの投球成績をまとめます。※成績は8月27日現在
月 | 勝-敗 | 防御率 | イニング | 与四球 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
4月 | 1-0 | 3.29 | 13.2 | 13 | 23 | 1.39 |
5月 | 0-1 | 2.38 | 22.2 | 13 | 27 | 1.15 |
6月 | 2-0 | 4.94 | 23.2 | 9 | 33 | 1.31 |
7月 | 2-0 | 1.35 | 20.0 | 1 | 17 | 0.70 |
8月 | 3-0 | 2.88 | 25.0 | 3 | 27 | 0.84 |
通年 | 8-1 | 3.00 | 105.0 | 39 | 127 | 1.06 |
※データはStatCastより引用
注目すべきは,与四球とWHIPです。
7月から与四球が劇的に改善していることがわかります。
四球によるランナーを削減することで球数も節約することができ,より多くのイニングを投げるチャンスが得られます。
これは先発投手として非常に大きなプラスポイントといえるでしょう。
特にリリーフ防御率がリーグ12位(15チーム中)と頼りないエンゼルスにとってはなおさら先発投手の活躍が重要となります。
投球内容の変化
次に大谷投手の投球内容について詳しく見ていきます。
球速と変化量
下の画像は,月ごとの平均球速を球種ごとに示したデータです。

4シームの球速は,4月に97マイルと最速でしたが,その後は95マイル程度で一定です。
一方でカットボール,スライダーは5月に比べて2~3マイル球速が上がっています。
球速が上がっているカットボール,スライダー,カーブについて,横方向の変化量を見てみると,
球速の増加とともに変化量は減少していることがはっきりわかります。(下図参照)

配球の変化
大谷投手の月ごとの球種割合を見てみると,その変化は一目瞭然です。

シーズン当初50%を超えていた4シームの割合は8月現在で35%程度まで落ちており,その代わりにカットボール,スライダーの割合が大幅に増加しています。
また,伝家の宝刀であるスプリットも5月以降使用頻度を下げていることがわかります。
下図はバッター有利のカウントでの配球を示しています。

ボール先行の状況ではストライクゾーンに投げてカウントを取りに行く必要があります。
以前は4シームでカウントを整えていましたが,徐々にカットボール,スライダーの割合が増え,8月に至ってはカウント球はカットボールかスライダーが70%超という状態になっています。
8月25日(現地時間)のオリオールズ戦では自身ワーストとなる3HRを許しましたが,3本とも早いカウントからの4シームを叩かれています。カウント球として4シームを投げる割合は今後さらに減っていくかもしれません。
次に2ストライク後の配球を下に示します。

以前の決め球はスプリットでしたが,現在はスライダーの割合が一番多くなっています。
大谷投手のスプリットは決まれば非常に強力ですが,制球の難しい球種でもあります。
低めに外れる分には問題ありませんが,下図に示すように高めに大きく外れるボールも少なくありません。

リスクの高いスプリットを多投することは避け,スライダーでより確率高く打ち取ることに集中していることがわかります。
カウント球にはカットボール・スライダーを使い,2ストライク後もスプリットの多投は避けスライダー勝負が増えている。
まとめ
いかがだったでしょうか。
日本で速球派のイメージが強かった大谷投手ですが,現在は変化球主体に適応させ勝利を積み重ねています。
今後大谷投手の当番を見る機会があれば,その投球スタイルに注目してみると面白いかもしれません。
- 7月からは制球が良くなり与四球が激減
- 4シームの球速は95マイル程度で安定
- 変化球の球速はシーズン当初から2-3マイル増加し,変化量は減少
- カウント球としての4シームは減少し,代わりに制球のいいカットボール・スライダーを多投
- 2ストライク後もスプリットの多投は避け,スライダーで打ち取るスタイルに変更
最後までお読みいただきありがとうございました。
See ya!